経理実務の基礎

経理お役立ち情報2021.03.18

経理の仕事を一言で表すなら、「会社の活動を数字で表すこと」です。
社長は会社を運営するために、「今、どのくらい儲かっているか?」「どれくらいの資産があるか?」といった会社のお金の動きを正確に把握する必要があります。そのための情報をタイムリーに提供するのが、経理部門の役割です。社長の経営判断を左右するので、正確に管理しなければなりません。

簿記の勉強ができる=経理実務ができる、にはなりません。なぜならば、実際の実務では会計処理の前提となる簿記の問題文作り(実態把握)から始めないといけないからです。誰が、いつ、何のために、何を購入したかが分からないと仕訳すらできません。そこが簿記しか知らない人と、実際の実務とのギャップになっていると思われます。

では実態把握能力はどうやって身につけるのでしょうか。
まず、前提知識が必要です。会社概要はもちろんのこと、組織図、業務フロー、意思決定フローを知らなければ、誰に聞けばいいのかわかりません。ビジネスの一般常識や関係法務を知らないと、自信を持ってヒアリングできないこともあります。

もちろんヒアリング前には下調べが必要です。
契約書や稟議書があれば、ある程度内容を把握することは可能となります。また、過去の取引も参考になります。意思決定フローを知り、記録文書の保管場所を知っていれば、大まかな内容は把握できるでしょう。
そして、前提知識と自分で調べた結果により仮説を立て、そのうえでヒアリングをします。
(ある程度の規模の会社では、いちいち聞いたり調べたりしなくても、ワークフローなどで内容が把握できる仕組みは構築されています。)

このように、実態把握能力が経理ができるできないに左右するところとなります。簿記の知識だけではなく、情報収集をする力や、状況を推測する力・処理方針を提案する力など、経理以外の知識によるところが大きいのです。

会社の事業活動の中では、多くの意思決定が必要となります。会社としての意思決定は、原則的に取締役会の決議または取締役の過半数で決めることになります。
その他は稟議や申請書などがありますが、金額等の重要性により誰が決裁者になるか決まっています。

意思決定フローの3大根拠規定として稟議規定、職務権限規定、業務分掌規程があります。これらの規定を見れば意思決定フローがわかるようになっています。
また、規定ではないですが、実際に誰がどこの部署に属しているかわかる組織図も参考になります。

そして、業務フローで全体像を掴むことも実態把握のひとつです。業務フローでは担当者および他部署間の業務の流れを理解することができます。
最初に対外的な行為への意思決定があり、取引が開始され、業務フローのポイントごとに権限者による承認があり、取引や業務が進みます。

ここまでに書いた通り、経理の仕事は、取引の実態や会社の内情、一般知識、関係法務を知らないとなかなか難しいということになります。
財務状況や決算書などを基に、経営のサポートができる知識があれば、経理の役割を越えた、会社にとって大切な人材となります。社会や業界の情勢も把握し、自分が経営者ならばという視点で俯瞰する目を養えば、経営判断のサポートも少しずつできるようになると思います。会社を陰から支える、信頼の置ける経理担当を目指して知識を身に付けていきたいと思いました。

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