変化の激しい時代の予算管理

経理お役立ち情報2021.05.31

【予算管理とは】
経理に携わっている私にとっての「予算管理」から連想する業務は、「経費の予算と実績の差異分析」です。営業部にとっては「利益管理」が重要な業務でしょう。

売上から費用を引いた「利益」を出すことが「予算管理」です。
なぜなら、「予算」は株主との「お金を増やす〝約束〟」だからです。

経理では、予算実績分析で仕訳のミスを発見できるなどの予算の副産物が有用です。 
私自身も、予算と実績の差異により、費用計上漏れに気づいたことが何度かあります。


【予算管理の弊害】
このように、予算管理は、実務において、少なからず有効性があるとは思いますが、予算管理の負の面も多く、現在では「脱予算管理」の流れがあります。

▽『脱予算経営』
ジェレミー・ホープ、ロビン・フレーザー著、清水孝監訳(2005・生産性出版)
の本の中で紹介されている「予算管理」の弊害には以下の点があります。

・予算管理には莫大な時間が投入される
・社員は、本社から指示される業務を計画し、調整・コントロールすることを期待される
・シニアエグゼクティブが過度に強気の売上目標値を約束してしまう
・行き過ぎれば、利益操作という犯罪に至る
・来期の予算を確保するために、今期の費用予算を必ず使い切ってしまう

前職で、管理部長と営業部長が、いつも予算の打合せばかりしていた記憶があり、1つ目の「莫大な時間がかかる」という点には私も大きく賛同です。


【変化の激しい時代のKPI管理】
「脱予算管理」では、KPI(Key Performance Indicators: 重要業績評価指標) でもって目標値を設定することが勧められています。

*KPIの例
・資本利益率・・・ 資本をどれだけ効率的に利用して利益を出しているか
・フリー・キャッシュフロー・・・ 自由に使えるお金の額
・収益対費用率・・・ 費用対効果

KPIの数値を使用することによって、目標値の設定プロセスや中短期的な業績見直しが迅速化されます。昨今は、会社を取り巻く環境は目まぐるしく変化するので、迅速に対応できることが会社の成長へと繋がるでしょう。

また、売上などの固定目標値がないので、数字を操作し事実を歪めるなど、粉飾決算を引き起こす要因がなくなります。
そして、コスト低減の下限となっていた予算もなくなるので、状況に応じたコスト低減を求めることもできます。

「脱予算管理」によって、従業員に自由が与えられ、権限は本社から現場マネージャーやチームに委譲されます。それは、社員一人一人が、部署というチームで業績を上げていく責任を持つということでもあります。


【経理の私としては】
KPI管理でチームが業績を上げていく為には、正しく真実の数値(生データ)が、全従業員に同時に共有される必要があります。努力の成果を知るためです。

経理の私としては、正しく真実の数値をチームへ伝えることで、単なる記録係の経理屋ではなく、付加価値あるサービスを提供する、社内でのビジネス・パートナーでありたいと願います。

K.N

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