GENライブラリーでも絶大なる人気を誇る「女騎士、経理になる。」。
この度、原作者Rootportさんが新著「会計が動かす世界の歴史」を出版されたということで、
その見どころと、謎に包まれたRootportさんの素顔に迫りました!
【お話を伺った方】
会計史研究家
ブロガー Rootportさん
【インタビュー目次】
1 はじめに 経理に興味が持てない人に是非
2 会計が動かす世界の歴史 人類の歴史に会計あり!
3 Rootportさんの哲学 今の制度に疑問を待つ
4 お酒に始まる 就活は、お酒のラベルから
5 今後の展望について 続編を乞うご期待!
「会計が動かす世界の歴史」 Rootport KADOKAWA刊
--------------- 「女騎士、経理になる。」を読んで、これはすごい!と思い、それ以来一体どんな方が書かれたのかと、
とても気になっていました。
今回このような機会を頂くことができ本当に嬉しく思います。
早速ですが、この度「会計が動かす世界の歴史」を出版されましたが、評判はいかがでしょうか。
Rootportさん 読者からの反応はとてもよいです。
経理、会計、簿記などにあまり興味を持てない人に是非読んでいただきたいです。
--------------- 確かに、知識がなくても、興味をもって読み進むことができると思いました。
読み終わった後は、知識も増えて、会計の虜になります。
Rootportさん 僕自身、最初に経理に全然興味が持てなくて、でも仕事だから勉強しないといけないし、
何か興味が持てるものがないかということで見つけたのが、「会計の歴史」という切り口でした。
高校生の頃の自分が読めるように、という思いもありました。
ー愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ
歴史の中には、学びの源泉が集約されているのかもしれません。
「女騎士、経理になる。」①~⑦ 原作 Rootport 作画 三ツ矢彰 幻冬舎 バーズコミックス刊
--------------- 今回の作品ですが、特に後半から世界の歴史と相まって、どんどん惹きつけられていくような感じがしました。
Rootportさんが一番お勧めしたいところはどのあたりでしょうか。
Rootportさん 自分のブログにも書きましたが、イギリスの産業革命についての箇所ですね。
ロバート・C・アレンの理論をまとめましたが、専門書の内容を分かりやすくまとめられたと自負しています。
--------------- 他にもイギリスを舞台にした本を書かれていますが(「会計探偵リョウ・ホームズ」)、
イギリスがお好きなのですか?
Rootportさん そうですね、もともと生物学専攻で、ダーウィンに興味がありました。
今回もダーウィンに結構ページを割いてます、本筋にあまり関係ありませんが、、
--------------- 投資家ダーウィンのお話など、非常に興味深かったです。
Rootportさん 人類の歴史に会計ありってことですね。
--------------- そもそもお金とは何かということについても、いろいろ考えさせられました。
Rootportさん 自分も大学生の時そうでしたけど、お金って身近なわりに、皆あまり分かっていない。
この本で、その本質的なところを伝えたかったです。
ーこれ一冊読んでおけば、怪しげな商売に騙されないはず!
まさに人類の歴史は、お金の歴史でもありました。
--------------- 「女騎士、経理になる。」でも結構細かい実務的な描写がありましたが、
Rootportさんご自身は、経理経験がおありなのでしょうか。
Rootportさん あります。インターネット上ではあまり詳しい情報を公開できないのですが、
新卒で就職した際に連結決算などを担当する部門に配属されました。
--------------- もともと学生時代から簿記会計がご専門だったのですか?
Rootportさん いいえ。
大学時代には生物学が専門でした。
--------------- 全く違う分野でお仕事を始められたわけですね。
Rootportさん ブログにも書きましたが、なぜ複式簿記を小学生で教えてくれなかったんだって、めちゃめちゃ思いましたね。
--------------- そのことが今の作品にも影響しているのですね。
Rootportさん 「女騎士、経理になる。」で読者から、「これを読んでやっと減価償却の意味が分かった!」
という声をもらいました。
--------------- グーテンベルクが活版印刷を発明したあたりですね。
Rootportさん そうそう、期間損益の話のところです。
簿記の教科書を読んでいるだけだと読み落とすところを、理解したと言ってくれるのが
作家としてとても嬉しいです。
--------------- 確かに、意味がよく分かりました。
Rootportさん 意味がよく分かるというのが大事で、意味が分かると今の制度に疑問を持つことができる、
それが民主主義の国では大事だと思います。
ー複式簿記の普遍性の裏の意味を知る、それが世界を動かす仕組みにも通じているのかもしれません。
--------------- 大学では、何を研究されていたのですか。
Rootportさん 卒業論文は「ホヤの発生学」についてでした。
ホヤは実は貝ではなく、脊椎動物に近いものなんです。
--------------- へーっ。
Rootportさん 卵からホヤとして成長するまで24時間で進むのですが、そのメカニズムが分かっていなかったんです。
そこを研究しました。
--------------- なぜそのテーマを選ばれたのですか。
Rootportさん 他の人がやっていなかったからです。
--------------- その後研究は続けず、就職をされたのですね。
Rootportさん はい、早く稼ぎたいと思っていたので。
学生時代、バーテンダーのバイトをやっていたんですが、就活では、お酒のメーカーにも何社も応募しました。
--------------- なんと!それくらいお酒がお好きなんですね。
お酒は何がお好きですか?
Rootportさん 何でも飲むけど、一番好きなのはスコッチウィスキーです。
2週間スコットランドに行って、蒸留所ばかり15か所回りました。
スコットランドって蛇口の水が飲めるんです。
しかも日本より美味しいくらい。
ウィスキーの仕込み水がそのまま出てくるようなものですね。
--------------- 執筆されている時も、お酒を飲まれるのでしょうか。
Rootportさん 意識的にやらないようにしています。
白状すると、お酒飲んだ方が筆が進みますが、、
ー会計にとどまらず、お酒やホヤに至るまでの造詣の深さはさすがです。
--------------- 「会計が動かす世界の歴史」続編は予定されているのでしょうか。
Rootportさん まだ企画はないですが、やりたいですね。
今回は、口別損益計算とか扱えなかったですし、PLがなぜ生まれたのかとか、
そのあたりの話は面白いですね。
--------------- 確かに、なぜ今の複式簿記ができあがったのか、そのあたりが分かると面白いと思います。
Rootportさん 最初は財産目録というBS的なものしかなかったのが、実地棚卸ができないので
フローが分かるようPL的なものをつくらせた。
ストックとフローで純資産が一致する、PL誕生の意義が腑に落ちる、
そういうところを読者に味わってもらいたいですね。
--------------- 素晴らしいです!
Rootportさん あと、「女騎士、経理になる。」も連載が再開し、今年中に8巻が出ます。
めちゃめちゃ面白いです!
--------------- やっと!ずっと待ちに待っていました!
Rootportさん 話の中で、キャラがどんなセリフや演技をするかは、書き始めてみないと分からないんですが、
今回は、キャラが饒舌に勝手にしゃべってくれる割合が高く、そういう時は大抵読者からの反応もいいです。
--------------- 一人一人のキャラがとても個性的ですが、一から設定を考えてらっしゃるんですか。
Rootportさん このキャラの隣にこのキャラがいたら面白そう、トラブルが起こりそう、
そういうことをよく考えます。
ドン・キホーテも一人だと面白くなくて、従者や相手役がいるから面白くなる、
ボケに対するツッコミみたいなのは必要ですね。
--------------- 8巻はだいぶ山場でしょうか。
Rootportさん 山場ですね!
ー実戦で腕を上げる、というのをストイックに追及するRootportさん、他にも複数のマンガを仕込み中ということでした。
今後の展開もますます楽しみです!
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